インカム・トランシーバー・無線機の総合商社ウェッジ株式会社
手軽に使える無線機として、特定小電力トランシーバーがあります。
特定小電力トランシーバーは特定のエリアでの通信に活躍してくれる無線機なのですが、通信距離が若干短いのがネックです。
そんな特定小電力トランシーバーを、より遠く会話でき、より特定の用途に特化したのがデジタル小電力コミュニティ無線です。
ここでは、そんなデジタル小電力コミュニティ無線について基礎的な知識をご紹介します。
デジタル小電力コミュニティ無線とは、150MHz帯を使用し、通信を行うデジタル無線機です。
「デジ小」や「デジコミ」、あるいは「DRCR」「LCL」とも呼ばれており、誕生した背景としては平成28年8月の法改正が背景にあります。
高齢化社会の現状と地域社会への関わり方などの対策で、安価で操作が簡単な通信手段が求められていました。
その対策として最適な回答が、トランシーバーでした。
かつて、デジタル小電力コミュニティ無線の使用している150MHz帯は山岳地帯で野生動物を監視する人たち専用の周波数となっておりました。
しかし、2018年の法改正により、周波数帯域が市街地でも使用可能となり、デジタル小電力コミュニティ無線として無線機が開発されました。
そんなデジタル小電力コミュニティ無線の主な用途は、名前の通りコミュニティでの通信がメインとなります。
もとは山岳地帯での野生動物監査が主目的だったため、GPS送出が義務付けられています。
これを利用し、デジタル小電力コミュニティ無線では子供の誘拐や高齢者の徘徊などの対策に利用が可能です。
他にも、通信相手を限定して連絡を取り合うことでの現状把握や、町内会の清掃など、コミュニティの連絡事項の伝達といった、コミュニケーションが利用シーンとして想定されています。
本来、無線機は電波法により免許が必要ですが、出力が弱い特定小電力トランシーバーや、電話回線を使用するIP無線機は、使用する場合に資格・免許は不要です。
デジタル小電力コミュニティ無線も同様に、免許や資格の取得が不要となっています。
そのため、購入すればすぐにデジタル小電力コミュニティ無線の使用が可能なので、お手軽に使いやすいのが大きな強みの一つといえるでしょう。
デジタル小電力コミュニティ無線は特定小電力トランシーバーのおよそ50倍の出力を有しています。
電波法に基づいた特定小電力トランシーバーは、送信出力が10mwと極めて微小です。
しかし、デジタル小電力コミュニティ無線は本来障害物の多い山岳部で使用することを目的にしたトランシーバーなので、送信出力が500mwと、およそ50倍の出力です。
そのため、障害物が多めの市街地でも特定小電力トランシーバーよりも遠くの相手と通信が可能になります。
近年ではGPSを搭載した無線機が増えていますが、デジタル小電力コミュニティ無線の場合、GPS機能が標準装備されています。
この機能は、上述したように標準装備されているものであり、デジタル小電力コミュニティ無線でももちろん搭載・仕様が可能です。
そのため、所持者の位置が特定しやすく、子供やご老人の現在位置を特定しやすくなっています。
デジタル小電力コミュニティ無線は相手との通信が困難、あるいは相手からの連絡がつかない場合、周辺音声を取得する機能を有しています。
周辺の音をモニタリングすることで現在位置の特定がしやすくなり、迷子の発見がしやすくなります。
基本的に、特定小電力トランシーバーやIP無線機のように、操作性は極めてシンプルです。
そのため、無資格や無免許でも問題なく操作できますし、子供や機械の扱いが苦手な人でも問題なく使用できます。
もともと、デジタル小電力コミュニティ無線は地域のコミュニティの簡単で手軽な通信方法として考案されたものなので、操作はシンプルになっているのです。
デジタル小電力コミュニティ無線は、総じて防水・防塵機能が搭載されているので、耐久性という面で考えると、大抵の機種は屋外での使用が可能です。
もともと山岳地帯での使用目的だったため、デジタル小電力コミュニティ無線も同様に屋外での使用に耐えられるようになっています。
デジタル簡易無線機の他にも無線機には様々なタイプの機種があります。
ここでは、デジタル簡易無線機を携帯できる無線機である「特定小電力トランシーバー」と「IP無線機」と「デジタル簡易無線機」の3つと比較して、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。
デジタル小電力コミュニティ無線に近い機能を有しているのが、特定小電力トランシーバーです。
どちらも免許や資格の取得は必要なく、限定されたエリアでの通話を前提に作られています。
この2つを比較した場合、スペック面ではデジタル小電力コミュニティ無線のほうが高いスペックを有していることが多いです。
特に、通信距離はデジタル小電力コミュニティ無線のほうが長く、およそ倍以上の距離が離れていても通話が可能となっています。
出力が高いので障害物が多い場所でも安定した会話が可能ですし、障害物の少ない郊外で使用する場合、デジタル小電力コミュニティ無線は2キロ以上の通話距離を有します。
一方、バリエーションの多さやコスト面においては特定小電力トランシーバーのほうが優れています。
デジタル小電力コミュニティ無線はまだ機種が少なく、購入するものが限られていますが、特定小電力トランシーバーは多くのメーカーが多数開発・製造をしています。
また、スペックが低い分コスト面も安く抑えやすくなっているため、利用シーンが限られているなら特定小電力トランシーバーのほうがおすすめです。
IP無線機もデジタル小電力コミュニティ無線と同じく、資格も免許も不要の無線機です。
この2つを比較すると、通話距離という点ではIP無線機のほうが圧倒的なスペックを誇ります。
電話回線を利用して通話が可能なので、電話が通じる距離ならどこでも使用が可能なので、数百キロ離れた場所の相手とも通話ができるのがIP無線機です。
また、電話回線を経由するため、障害物の有無も関係なく通信できるので、安定した通話が可能です。
一方、コスト面においては月々の通話費用が発生するため、デジタル小電力コミュニティ無線や特定小電力トランシーバーと比べると高コストになりやすいです。
また、電話回線が通っていないエリアだと通話が困難になるので、エリアによってはデジタル小電力コミュニティ無線のほうが安定した通話が可能です。
よって、コスト面で考えた場合、近場の相手との通信がメインならばIP無線機を利用せず、特定小電力トランシーバーやデジタル小電力コミュニティ無線のほうがメリットがあります。
デジタル簡易無線機は、今回紹介する無線機の中で唯一免許の取得が必要な無線機です。
特徴としては、デジタル小電力コミュニティ無線や特定小電力トランシーバーに比べると、通信距離がさらに広いということです。
市街地ならば1km以上の距離で通話が可能で、見晴らしの良い場所なら5k身性離れても通話できます。
しかし、使用するには届け出が必要であり電波利用料も払わなければいけません。
何より、使用用途が業務、あるいはレジャー用に限定されているため、日常生活の使用には適しません。
広範囲に渡って通話できるというのはメリットになりますが、低コストで使用するというのであれば、デジタル小電力コミュニティ無線や特定小電力トランシーバーのほうがおすすめです。
上述したように、無線機は様々な機種があり、それぞれ最適なシチュエーションが異なります。
では、デジタル小電力コミュニティ無線の最適な仕様のシチュエーションとはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、デジタル小電力コミュニティ無線を使用する上で、メリットのみを感じやすいシチュエーションをご紹介いたします。
デジタル小電力コミュニティ無線の本来の用途として、災害が起きた場合の自治体単位での連絡や、有事に備えての避難訓練の練習で用いるケースが挙げられます。
例えば停電が起きるほどの大地震や火災が発生した場合、場合によっては電話が使用できない可能性も考えられます。
そんなとき、広範囲での連絡が付きやすいデジタル小電力コミュニティ無線なら現状の共有がしやすい他、避難場所の連絡、あるいは家族とはぐれた際の連絡が取り合うことが可能です。
避難訓練時でも実際にデジタル小電力コミュニティ無線を使用して置くのはおすすめです。
いざという時にスムーズに連絡ができるようにしておくなどの訓練ができるので、より有事の際に行動しやすくなります。
こうしたレジャーでの通信手段として、デジタル小電力コミュニティ無線は大きく効力を発揮します。
スタッフが所持しておき、キャディマスター室でも所持しておくことで、低コストで全域に渡る無線通信が可能です。
特定小電力トランシーバーよりも通信距離が広く、障害物のないゴルフ場だと5km以上の通信ができるため、より連絡が取りやすくなります。
雷発生時の連絡手段やホールの状態の連絡など、広範囲での連絡が必要なシチュエーションでデジタル小電力コミュニティ無線は大活躍してくれるでしょう。
大規模な工場のような見通しが悪くなりやすい場所では、デジタル小電力コミュニティ無線が活躍しやすいです。
障害物が多くても連絡がしやすいだけではなく、大規模で非常に広い場合でも500m程度の距離なら通信が可能なので、通信の伝達がしやすいです。
そして、万が一の災害に備えての連絡は、工場なら災害・二次災害に巻き込まれないよう、より迅速に現状を把握する必要があります。
そんなとき、無線機なら携帯電話が使えなくても連絡できる他、一斉に伝達ができるため素早く行動できるため、被害を最小限に抑えやすくなります。
デジタル小電力コミュニティ無線が意外な活躍をしてくれるのが、カーディーラーをはじめとした自動車関連の業者です。
こうしたカーディーラーでは、お客様に気になる車に試運転をしてもらうサービスを行っているところがあります。
その際、デジタル小電力コミュニティ無線があればいざという時に連絡が取りやすいため、カーディーラーを始めとした自動車販売業者間で活躍してくれるでしょう。
携帯電話でも代用できますが、こちらは通話に手間がかかる他、いざというときの連絡で一斉に通知される場合、若干のタイムラグがあるので、一定の範囲内の連絡ならデジタル小電力コミュニティ無線のほうがやりやすいです。
デジタル小電力コミュニティ無線に限らず、無線機と工事現場の相性は良いとされています。
オプションを使用すればハンズフリーで連絡ができるため、両手がふさがりやすい現場でも問題なく使用できるので業務に支障なく連絡を取ることができます。
デジタル小電力コミュニティ無線の場合、特定小電力トランシーバーよりも広範囲に渡って連絡が取りやすくなるため、大規模な工事現場位においてはより効果を発揮してくれるでしょう。
加えて、GPS機能もあるので現在位置も特定しやすいため、近場の人に作業依頼をしたり、伝達を依頼したりと行った応用方法もできるので、デジタル小電力コミュニティ無線はより工事現場で活躍しやすいです。
工場と同じく障害物が多い倉庫や、学校などの警備を行う場合、デジタル小電力コミュニティ無線は重宝されるでしょう。
運搬作業中で手が離せなかったり警備中になにか問題が発生したりした場合、素早く連絡できるので効率よく業務を行えます。
また、GPSが搭載されているので連絡が途絶えた場合、そのGPSをもとに確認に赴くことができるので、作業員や警備員が急病で倒れたり、何か事故に巻き込まれたりしたときも素早く対応できるため、急なトラブルの対処もよりやりやすくなります。
デジタル小電力コミュニティ無線はまだ新しいタイプの無線機のため、数は少なめです。
しかし、新しいタイプの無線機ということで、機能面で優れているものが多く、利便性に優れています。
ここでは、そんなデジタル小電力コミュニティ無線のおすすめの機種をご紹介しましょう。
IC-DRC1MKIIは、アイコムが製造・販売しているデジタル小電力コミュニティ無線です。
FMラジオを搭載しているので災害時の情報収集にも使用できますし、無線機なので電話が使用不能になっても利用できます。
また、バッテリーに関してはUSBで充電が可能なため、モバイルバッテリーを所持していればいざというときでも充電が可能ですし、充電しながら通信に利用できます。
IC-DRC1MKIIは、デジタル小電力コミュニティ無線のスタンダードともいえる無線機です。
操作性はもちろんのこと、機能面でもさまざまなトラブルに対応でき、本来の目的である地域コミュニティでの利用も、上述したシチュエーションでも十分な実用が可能です。
アルインコより製造・販売されているデジタル小電力コミュニティ無線です。
こちらは本来の用途以外にもレジャーやホビーユーザーにも配慮したカスタマイズ性に着目しています。
音声受信レベルやバックライトタイマー、位置サーチの応答制限など様々な項目のカスタマイズが可能になっています。
DJ-PV1Dは本来の用途である地域コミュニティでの使用以外にも、レジャー方面に着目したスペックとなっております。
サイズや重量などの基礎スペックはIC-DRC1MKIIとほぼ同じですが、カスタマイズ性の高さから、より無線機にのめり込んでいる人向けといえるでしょう。
デジタル小電力コミュニティ無線は、無線機の中でもまだ歴史が浅いトランシーバーです。
しかし、特定小電力トランシーバーよりも高いスペックを誇り、GPS機能が標準搭載されていることから、より利便性が増しています。
2021年12月現在、まだデジタル小電力コミュニティ無線の機種は少ないですが、今後より多くのデジタル小電力コミュニティ無線が開発され、ご家庭や自治体で活躍してくれるスペックを秘めているといえるでしょう。
そんなデジタル小電力コミュニティ無線を試したい場合、レンタルでまずはできることを調べておくことをおすすめします。
避難訓練や自治体のイベントで使用し、どういった用途で活躍するのを見極めてから、備えることをおすすめいたします。
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