IP無線機と防災:災害時の緊急連絡用にIP無線機を

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IP無線機と防災:災害時の緊急連絡用にIP無線機を

防災で重要なのは、初動です。
消防庁の平成20年版版消防白書でも
災害時における初動対応が被害の軽減やその後の応急対策に大きな影響を及ぼすと考えられることから、大規模災害時においては、発災直後から情報の収集・伝達等に関し、臨機応変で的確な対応をとることが極めて重要である。
参考:初動体制の整備 | 平成20年版 消防白書 | 総務省消防庁

と記載していることから、防災において初動対応は被害の拡大を防ぐ上で欠かせません。
そんな災害時の連絡で活躍するのが無線であり、官公庁や地方自治体では防災無線が整備されています。
近年防災無線の用途として注目されているのが、IP無線機です。
IP無線機が防災においてどのように活躍するかご説明しましょう。

IP無線機は防災目的の使用に最適?3つのポイント

IP無線機は防災目的の使用に最適?3つのポイント

なぜIP無線機が防災対策に最適なのか、それは以下の3つが関係しております。

  • 1.通信制限がかかりにくい
  • 2.通信距離が長い
  • 3.GPS機能がついている

この3つは防災目的での連絡手段において、重要な意味を持っています。
IP無線機の持つこの3つの特徴についてご説明しましょう。

災害時に通信制限がかかりにくい

通信は、規模が大きければ大きいほど連絡が取りにくくなります。
これは、電話の回線容量がパンクして通信が困難になる「輻輳(ふくそう)」が発生するのが原因です。
IP無線機では、この輻輳が極めて発生しにくくなっています。
IP無線機は携帯電話の電話回線を利用し、パケット化した音声を送受信します。
この通信方法は輻輳が発生しにくいため、安定した通信が可能です。
事実、総務省の発表によると、先の東日本大震災でのパケット通信による輻輳発生率は音声通信に比べるとほぼ発生しなかったことが判明しています。
参考:総務省「平成 23 年版 情報通信白書」P8

なお、IP無線機以外の無線機も安定して通信が行えます。
従来の無線機は電波を直接飛ばして通信を行うため、電話回線の状態に関係なく通信が可能だからです。

通信距離が長い

他の無線機も安定して通信が行えるのになぜIP無線機がおすすめなのか、それはIP無線機は他の無線機よりも圧倒的に通信距離が長いからです。
電話回線がつながるところなら北海道から四国や沖縄にまで連絡が取れるので、全国各地と連携が取りやすくなるのがIP無線機の強みです。
他の無線機は災害時でも安定した通信が期待できますが、通信距離が短かったり、使用には免許及び申請が必要だったり、あるいは障害物が多いと連絡が取りにくかったりといった弱点があります。
しかし、IP無線機は距離はもちろん障害物に関係なく通話が行えるので伝達手段として安定した通話が可能です。

GPS機能を有している

多くのIP無線機は、GPS機能を搭載しております。
GPS機能を駆使することで、発信者の詳しい位置情報の確認が可能です。
こうした防災における「見える化」は、現場の職員の同行及び安全状況を逐一確認し、見守ることが可能です。
更に、位置情報が明確になることでより的確な目的地の誘導が行いやすくなり、タイムロスの軽減につなげることが可能です。
なお、IP無線機の中にはGPS機能が標準装備されているものと、そうでないものがございます。
防災目的でIP無線機を利用する場合、GPS機能の有無は確認しておきましょう。

他の通信手段との比較

他の通信手段との比較

防災対策におけるIP無線機と比較すると、他の通信手段はどのようなメリット・デメリットが有るのでしょうか。
ここでは、IP無線機をベースとして、電話機、他の無線機との比較をご紹介します。
なお、ここで紹介する無線機は中継機を介して連絡を取るMCA無線機をベースとして比較いたします。

電話機

無線機と比較すると、電話機は防災目的で使用するには、やや不向きな傾向にあります。
災害の規模にもよりますが、規模が大きくなればその分電話回線がパンクし、通信が困難になる可能性があるので、いざというときの連絡手段としては信頼性が薄いです。
また、電話での通信は一対一でしか連絡が取れないため、一度に一斉に指示や安否確認が出来ないというのもネックとなります。
以上の点から、防災対策を電話で行うというのはおすすめできません。

MCA無線機

MCA無線機も、中継局を経由して通信を行うため、中継機の契約内容によっては全国のどこにでも通信が可能です。
一つの中継局につきおよそ半径20~40kmの通信距離を持つため、自治体で使用するのであればMCA無線機でも十分代用が可能です。

しかし、山間部や都市部など電波の障害となるものが多い場所では通信が繋がりにくくなる可能性があります。
また、一度の通信で3~5分程度の会話しかできず、場合によっては繋がるまで順番待ちをしなければならないケースもあるので、必ずしもIP無線機と同等とはいえません。

IP無線機を防災用に使用する際の注意点

 

IP無線機を防災用に使用する場合、注意点としては維持費が挙げられます。
IP無線機は電話回線を使用するので毎月の通信料が発生します。
また、レンタルの際はレンタル料金も発生するため、維持費が常にかかり続けるという点には注意が必要です。
しかし、免許不要なので免許の更新費用も発生しませんし、アンテナの設置、中継機の設置といった初期費用は安く抑えやすいため、導入のしやすさで言えばIP無線機のほうが勝っています。

防災に役立つIP無線機3選

防災に役立つIP無線機3選

防災対策に必要なIP無線機の条件

防災対策においてIP無線機に求められているものは

  • 1.デュアルSIMで安定した通信が可能
  • 2.最高クラスの防塵・防水性能
  • 3.屋外でのインフラ設業、交通機関での使用がおすすめ

の3点です。
基本的に、この3つのポイントさえ押さえていれば、いざというときに素早く使うことが可能です。
しかし、IP無線機にはこの条件を揃えているものが多く、どれが良いのかというのがわかりにくいです。
ここでは、そんなIP無線機の中でも防災対策向きのものを3つご紹介いたします。

SOFTBANK 601SJ

SOFTBANK 601SJの製品画像
■SOFTBANK 601SJのここが強み
  • 1.緊急速報メール対応
  • 2.感圧式なので手袋をしていても使用可能
  • 3.GPS機能で位置情報の特定も可能

SoftBank 601SJはソフトバンクから販売されている車載型のIP無線機です。
最大の特徴としては、国や、地方公共団体が災害時の緊急連絡として配信している「緊急警報メール」に対応していることです。
通信網が混乱しているときは情報の真偽も確認が難しいですが、これにより信頼性の高い情報を得ることができるのは、防災対策において最大のメリットといえるでしょう。
また、スクリーンはタッチパネル形式ですが、感圧式なので手袋をしていても使用できるのも、災害の対応路において嬉しいシステムとなっています。
オプション加入の必要はありますがGPSにも対応しているため、総じて防災対策として必要なものが揃っているIP無線機といえるでしょう。

IP502H

IP502Hの製品画像
■IP502Hのここが強み
  • 1.デュアルシムで回線の遅延対策は万全
  • 2.最高水準の耐久性
  • 3.ハンディタイプとしても車載タイプとしても使用可能

IP502Hはアイコムが販売しているハンディタイプのIP無線機です。
最大の特徴は、デュアルSIMによる複数サーバーの使用です。
最大2つのサーバーを使用できるため、片方のサーバーがダウンしてももう一つのサーバーで通信が可能です。
これにより、いざというときの回線の不調のリスクも抑えやすくなっています。
加えてオプションを使用することで車載型としても使用できるため、運転時の通信も行いやすいというのも特徴の一つです。
そして、屋外での使用に耐えられる最高レベルの防水・防塵機能を有しているため、台風や地震などの災害時でも問題なく使用できます。

Withcall Biz

Withcall Bizの製品画像
■Withcall Bizのここが強み
  • 1.無線機の中でも特にコンパクトなサイズ
  • 2.高い防水・防塵性能
  • 3.特定省電力トランシーバーや携帯電話とも通話可能

Withcall Bizは、アイコムが製造・販売しているIP無線機です。
特筆すべきはそのサイズであり、極めて軽量かつコンパクトな見た目となっております。
アンテナも内蔵式なので、トランシーバー特有のアンテナが目立つフォルムとは異なっているのが特徴的です。
耐久性も高い防水・防塵性能を誇るので、地震や台風といったシチュエーションでも故障のリスクが少なく、ハードな環境でも使用が可能です。

また、IP無線機だけではなく、特定省電力トランシーバーや、Withcall Bizのアプリを使用すれば携帯電話と通信ができるというのも特筆すべき部分でしょう。
携帯電話にアプリをインストールしていればWithcall Bizと通話が可能になるので、突発的な災害に遭遇し、無線機を持っていなかったとしても対応が可能になります
注意点としては、携帯電話の耐久性やバッテリーは無線機よりも弱い傾向にあるので、代用品として使うのは若干難しいということでしょう。

 

防災対策はIP無線機がおすすめ

防災対策はIP無線機がおすすめ

防災対策において、連絡は決して疎かにできません。
災害は、初動が遅れるとさらに拡大してしまいます。
そのため、有事に備えて何はなくとも通信手段は考えておくべきでしょう。
IP無線機は、そんな有事の際に活躍する通信手段の最たるものです。
MCA無線機と同じく月額費用はかかるものの、最初から全国どこにでも通信ができる他、遮蔽物に関係なく通信ができるので、より防災対策に適した無線機です。

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