古い特定小電力トランシーバーやアナログ無線機が2022年で廃止へ

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2021.10.29 商品・サービス

古い特定小電力トランシーバーやアナログ無線機が2022年で廃止へ

アナログUHF簡易業務用無線機は
2024年12月1日以降ご使用できなくなります

2011年にテレビ放送がアナログから地上デジタル放送に変わったように、無線も2022年11月30日にデジタルに完全に移行が決定しました。
したがって、今所持しているアナログ無線機は、期日までに処分及び停止をしなければなりません。
ここでは、アナログ無線機の停止や変更の申請など2022年に向けての対策についてお話します。
無線に詳しい人ならばまだしも、普段無線に縁がない人は、どういった製品が良いのかわからないのではないでしょうか。
これから買い換える人のために、おすすめのデジタル特定小電力トランシーバーについてもご紹介します。
※2021年9月1日制度改正により、使用期限が2022年11月30日から2024年11月30日まで延長となりました。
なお、本ページ記載のアナログ無線機とは「350MHz及び400MHz帯のアナログ方式の周波数」の簡易無線局を対象としております。あらかじめご了承くださいませ。

アナログとデジタル:音声伝達方法のしくみ

おさらいとして、無線による音声のやり取りの仕組みをお話しましょう。
我々の会話による音声は、声の高低や音の大きさなど、様々な要因によって「波形」で表されます。
アナログ無線は、この波形の情報を波形のまま信号処理するシステムです。

それに対し、デジタルは波形の情報を0と1の数字に変換し、伝達するという手段です。
波形の情報を0と1のデジタル信号に変換した後、その信号を相手に送信し、無線がそれを受信するとアナログ信号にかわり、音声情報が伝わります。

なぜアナログ無線機が廃止になるのか

アナログ無線がなぜ廃止になるのか、総務省ではその理由を以下のように説明しています。

電波は有限希少な資源であり、携帯電話、テレビ・ラジオ放送、消防・救急無線、鉄道無線など、様々な用途で利用されています。今後も、データ伝送等で電波の利用ニーズが高まることが想定されることから、電波の有効利用を促進する必要があります。デジタル方式は、アナログ方式に比べて音質が良く、占有周波数帯幅を狭帯域化(ナロー化)しても伝送速度を高めることができるなど、通信品質の向上や電波の効率的な利用が可能であることから、積極的にデジタル化を進めることが求められています。
引用:https://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/relate/dcr/ 「総務省 電波利用ホームページ 簡易無線局のデジタル化について」

技術の進歩により、デジタルのほうが便利になり、ニーズが高まっています。
また、アナログは非効率的な状態で周波数帯域を専有しているため、デジタルで統一されるようです。

2022年11月30日までにやるべきこと

もしも、アナログ信号を発する無線を所持している場合、それまでにやらなければならないことがいくつかあります。
1つ目は、アナログ無線の廃止手続きです。
手続き自体は、総務省のホームページから無線局廃止届の書類をダウンロードし、必要事項を記入して送付すればすぐに完了します。

2つ目は、免許情報の更新と、無線機の買い替えです。
こちらは引き続き無線を使用する場合のみ必要な作業であり、デジタル対応の無線機の買い替えとそれに伴う申請を行う必要があります。

アナログ無線機の停波処置にかかる費用

2022年11月までに上記の手続きを行う必要があるのですが、どのくらいの費用がかかるのかと、心配になる人もいるのではないでしょうか。
ここでは、停止と更新に伴う費用についてご説明しましょう。

アナログ波の廃止

こちら、廃止する場合に限っていえば、費用は一切かかりません。
総務省にも記載されているとおり、総務省ホームページで届出書をダウンロードし、必要事項を記入して送付するだけです。

引き続き無線を使用する場合(更新)

廃止せずに無線を使用する場合、2022年11月末までにデジタル無線に買い替える必要があります。
そのため、新たに購入する金額分の費用が発生します。
もしも、自分の所持している無線がアナログ・デジタルの両方使用できるデュアル無線だった場合、メーカーに連絡し、無線設備の改修依頼を出すことになります。
こちらはメーカーによって費用が異なりますが、数千円程度で改修ができるので、新たに買い替えるよりも安価です。


アナログの特定小電力トランシーバーは使用可能?

電波法に基づき廃止となるアナログ無線機ですが、特定小電力トランシーバーは例外です。
しかし、アナログでも使用が可能なのは、スプリアス規格に準じているもののみです。
この使用しているトランシーバーのスプリアス規格は、メーカーに確認する必要があります。
ここでは、無線の主要メーカー4社が掲載している、スプリアス規格の確認方法についてご紹介いたします。

アイコムの場合

アイコムの製品で確認する場合は、シリアルコードを見れば判別できます。
新規格の場合、シリアルコードにSのマークが記載されていますが、旧規格の製品は記載されていません。

アルインコの場合

アルインコの製品で確認する場合は、総合FAQでスプリアス規格について説明している項目があります。
特定小電力トランシーバーはpdf形式のリストがあるので、そちらを確認しましょう。

ケンウッドの場合

ケンウッドの製品は、公式ホームページにて旧スプリアス規格の特定小電力トランシーバーを掲載しているので、そちらを確認すれば問題なく判別できます。
https://www.kenwood.com/jp/products/information/lpd_spurious.html

八重洲無線の場合

八重洲無線の場合でも、同様に判別はできません。
ホームページでは特定小電力トランシーバーの新旧スプリアス規格の見分け方についての説明や型番は掲載されていないからです。
ですが、メーカーや総務省で問い合わせればスプリアス規格の確認は可能です。

アナログからデジタル無線機へ入れ替える場合

現在所持している無線機がアナログ無線機だった場合、2022年11月末までには処分し、デジタル無線機に切り替える必要があります。
このとき、無線機を一台だけ所持しているというのでしたら対応も気軽に行えますが、複数台所持している場合、手間がかかるのが無線機の入れ替えです。
手続き自体はそこまで面倒なものではありませんが、処分や買い替えなど、コストがかかるものは多いです。
ここでは、複数のアナログ無線機を持っている人のために、アナログ無線機からデジタル無線機へ入れ替えを行う場合の対処方法をご説明します。

一度に処分せず、段階的にデジタル無線機へ入れ替える

無理なくデジタル無線機へ移行する場合に、最も適した手段です。
最終的に発生する出費のトータルは変わりませんが、それでも数回に分けてデジタル無線機を購入・導入していくので、月々に発生する費用を抑えることができます。
また、こちらはレンタルで無線機を利用している場合、契約の見直しで再導入する無線機を吟味する機会が得られます。
また、購入している場合、免許の整理を行うこともできるので、複数所持している人ほど有効な入れ替え方法といえるでしょう。

一方で、入れ替えが完了するのに時間がかかる他、月々何度も手続きを行わなければいけないので、煩雑に感じる人もいるかも知れません。
また、2022年の11月末までに行う必要があるので、2022年10月以降の段階でまだ入れ替えを行っていない場合、無線機の数によっては順次入れ替えができないこともあります。
したがって、2022年上旬までには入れ替えを済ませる手順を済ませておきましょう。

必要最低限のものだけ入れ替える

方法①の派生の入れ替え方法です。
複数アナログ無線機を所持している場合、使用頻度の高い無線機だけ残し、残りは処分して必要になったらレンタルで代用するという方法です。
こちらの方法は、発生する費用を必要最低限に抑えることができ、手続きの手間も処分した分だけ減らせます。
その際、デジタル無線機の登録局に入れ替えを行っておけば、追加レンタルも問題なく行えます。

この方法で気をつけたいのは、いざ必要になった場合、レンタルを利用しなければならなくなるため、その都度手間がかかるという点です。
頻繁にレンタルすることが増えるようであれば、購入を検討しても良いかもしれません。

一度に総入れ替えする

一番手っ取り早く、手続きも一括で終わるのがこの方法です。
すべての作業を一度に終わらせることができるので、最短一日ですべての手続きや入れ替え作業を完了させることができます。
一方で、一度に発生する費用が最も多くなるため、十分な予算の余裕がないと、この方法が取れない場合もあります。

この方法が一番おすすめなのは、工場や大型店舗といった、いわゆる法人です。
こういった法人は、ほぼ毎日特定の相手と無線でやり取りを行うため、無線の交換は急務となります。
一括で総入れ替えを行う必要があるため、法人は一度に総入れ替えを検討しましょう。
普段から機材や免許の管理がきちんとできていれば、入れ替えもスムーズに行えます。

すべて処分・停止し、レンタルのみで運用する

無線機をすべて手放し、レンタルのみで活用するというのも、条件によっては大いに役立ちます。
例えば通信頻度がまばらだった場合、買い替えて入れ替えるよりもアナログ無線機を処分したほうが、最終的なコストを安く抑えることができるケースもあります。
また、使用する無線機が特定小電力トランシーバーならそもそも免許も不要であり、月々のレンタル料も安価なのでコストを節約できるでしょう。

もちろん、レンタルよりも購入のほうがトータルで見ると安上がりになるケースがほとんどです。
しかし、利用頻度が低かったり無線機や免許の管理が煩雑に感じたりするのであれば、レンタルを利用したほうが良いかもしれません。

アナログとデジタルの違いについて

上述したように、デジタルとアナログでは発信方法が異なり、デジタルのほうが優れているとされています。
しかし、アナログもデジタルにはない強みがあり、一概にすべてデジタルのほうが優れているとはいえません。
ここでは、デジタルとアナログの具体的な違いをご説明しましょう。

通信距離の比較

デジタルは、アナログよりも遠い相手に届くとされています。
デジタルは真っ直ぐにしか電波を飛ばせないのですが、その分遠くの相手に届きやすくなっています。
アナログは障害物があったら迂回して相手に届くので、その分距離が短いのです。
一方で、デジタルは障害物に弱いため、遮蔽物が多い場所だとアナログよりも届きにくいという懸念事項があります。

音質の比較

音質に関していえば、デジタルはアナログよりも圧倒的に優れています。
上述したように、デジタルは音声データをすべて0と1に変換するのですが、発生したノイズや雑音は情報化する際にカットされ、相手に送信されます。
その結果、ノイズの入らないクリアな音質での通信が可能となるのです。

混信への強さの比較

デジタルはアナログに比べると障害物に弱いですが、代わりに混信が少なくなっています。
上述したように、デジタルは直線的に電波を発信し、相手との通信を行います。
それに対し、アナログは障害物があっても迂回するため、電波の移動は不規則になりがちです。
そのため、アナログは電波同士が干渉しやすく、混信やノイズを生み出しやすくなっているのです。

バッテリーの持続力の比較

バッテリーの消耗速度を比較すると、アナログのほうが持続時間が優れているということが判明しています。
その理由は、電波の送受信方法が極めてシンプルであるということが関係しています。
デジタルは音声の送受信の際に、波形を0と1のデジタル信号に変換して送信、受信後はその信号をもとに波形を生成し、音声を再生するという処理を行うのです。
この複雑な工程により、デジタルはバッテリーの消耗が激しくなってしまうため、持続時間はアナログのほうが優れているといえます。

これから買い替える人へ、おすすめのデジタル特定小電力トランシーバー

もし、現在所持している特定小電力トランシーバーがアナログなら、早急に買い替えることを推奨します。
期日を過ぎて所持・使用していると、罰せられる可能性があるからです。
特定小電力トランシーバーは費用が安価で揃えやすいので、買い替えの際にそこまで大きな出費にならないのも魅力です。

ここでは、そんな特定小電力トランシーバーでおすすめの機種を5つご紹介します。

ウェッジトーキー

安価で導入しやすい

ウェッジトーキーの魅力は、特定小電力トランシーバーの中でも導入しやすいという点です。
購入価格が7000円以下であり、安価なものが多い特定小電力トランシーバーの中でも、特に買い求めやすい価格となっているのがポイントです。
そのため、レンタルよりも購入のほうがコストが抑えやすく、数も揃えやすくなっています。

一般的なトランシーバーとしての機能がすべて備わっている上に、防水・防塵機能も備わっているので、使用する場所を問いません。

オールラウンドで使用できる

ウェッジトーキーはスタンダードな性能に加え、アウトドアでも活用できる特定小電力トランシーバーです。
中継機にも対応しているため長距離通話も可能で、屋内でも屋外でも十分に活躍してくれます。

DJ-PX10A

イヤホンマイクとほぼ同じ大きさの超小型トランシーバー

DJ-PX10Aは、アルインコから販売されている特定小電力トランシーバーです。
極めて小型の特定省電力トランシーバーであり、イヤホンマイクと同じ大きさです。
マイク部分を本体に内蔵しているため、イヤホンだけで使用可能です。
また、クリップがついているので胸ポケットに挟んで使用できるため、ケーブルなしでも使用できます。
そんなDJ-PX10Aなので、重さは約21グラムと極めて軽量です。

接客の対応向け

DJ-PX10Aは接客業におすすめです。
イヤホンマイクと同じ大きさのDJ-PX10Aは、両手が塞がらず、邪魔になりにくいという特徴があります。
小型軽量型なので耐久性に若干不安があるため、ハードな現場よりも接客業のほうが力を十分に発揮できるでしょう。

BM-X10

最大10名まで同時通話が可能

BM-X10はB-EAR(ベアー)が製造・販売している特定省電力トランシーバーです。

最大の特徴は同時通話人数であり、BM-X10は最大10名と同時通話が可能です。

なお、これはあくまで通話可能人数であり、膨張人数は無制限となっております。
そのため、一人が全員に向けて通話を行い、情報の共有をすることが可能です。

工事現場やイベント会場等で活躍

BM-X10のスペックをより実感したいのであれば、おすすめなのは多人数で作業を行う工事現場や、全員に向けて担当者がスピーチを行うイベント会場でしょう。
急な対応が求められるような場所では連携が取りやすく、膨張可能人数が無制限なのでガイドが美術館で作品紹介をするとき、利用者全員に聞き取りやすくスピーチすることができます。
耐久性にも優れているため、ハードな環境でも活躍してくれることでしょう。

IC-4110

大手メーカーならではの安定感と信頼性

IC-4110は、日本の無線メーカーの中でも草分け的存在であるアイコムの製品です。
その特徴としては、すべてにおいてクオリティが高いということです。
全体的に安定した機能を有していて、防塵・防水機能も有しています。
セールスポイントとしてメーカーが推している音質は、特定小電力トランシーバーの中でも大音量でありクリアであるため、会話のしやすさや聞き取りやすさは特に秀でているといえるでしょう。

屋外での活用におすすめ

IC-4110も、ウェッジトーキーと同じく使用する場所を選ばない特定小電力トランシーバーですが、特におすすめなのは屋外での使用です。
防水・防塵性能が高いため、屋外での使用であれば、耐久性や音質も相まってIC-4110のほうが優れているといえるでしょう。
その分費用も高くなっているので、レンタルで使用感を確かめることをおすすめします。

UBZ-LP20B

驚異の持続力

ケンウッドより製造・販売されているUBZ-LP20は、何と言っても持続力が特徴です。

ECOモードという省電力モードを使用することで、市販のアルカリ電池で最長100時間利用が可能であり、長丁場の使用に耐えます。
また、携帯電話のように電波強度が確認できるため、通話をする際電波の届きやすい場所にいるかどうかも確認可能です。

主に屋内の作業で活躍

UBZ-LP20は持続力が高く、防塵機能も備えている反面、ハードな場所では活躍しにくくなっています。
屋外での使用を想定している特定省電力トランシーバーのほうが活躍しやすいです。
しかし、屋内であれば問題なく活躍できるため、レストランやショッピングモールなど、活用できるシーンは多いです。

余裕のあるうちに対応を

アナログの無線機は、2022年11月末をもって使用不可能となります。
厳密にいえば使用そのものはできますが、法律違反に該当するため、罰せられてしまうのです。
現代でアナログをそこまでして利用するメリットはほぼなく、デジタル無線がアナログ以上に活躍してくれるでしょう。
現在、国では2022年11月までの変更や処分を進めているため、早めの処分と買い替えを検討することをおすすめします。

インカムナビに未掲載の商品については、
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