初めてのデジタル簡易無線:基礎知識とおすすめ無線機紹介

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2022.01.14 商品・サービス

初めてのデジタル簡易無線:基礎知識とおすすめ無線機紹介

初めてのデジタル簡易無線:基礎知識とおすすめ無線機紹介

特定小電力トランシーバーよりも広い範囲での通話が可能で、なおかつさまざまなシーンで活用できるのが簡易無線機です。
簡易無線機とひとくちでいっても、さまざまなタイプに分かれています。
デジタル簡易無線にアナログ簡易無線、さらに、同じデジタル簡易無線でも免許局と登録局に分かれています。
ここでは、デジタル簡易無線をベースに、簡易無線の基礎知識や、おすすめデジタル簡易無線機をご紹介いたします。

デジタル簡易無線とは

簡易無線とは

簡易無線とは、名前の通り簡易な業務、または個人的な用途での使用を目的とした無線のことです。
簡易無線のもう一つの特徴としては無線従事者資格が不要だという点が挙げられます。
従来の無線(一般業務用無線)は、無線設備の操作に専門的な知識が必要とされるため、電波法に基づき、総務省認定の免許と操作資格が必要です。
しかし、簡易無線は無線従事者が不要であり、使用するのに必要なのは免許のみとなります。

なお、資格も免許も不要な無線として特定小電力トランシーバーがありますが、こちらは通信範囲が500m前後で出力も大幅に低くなっています。
その分安価で利用しやすいというメリットがあるので、使用する場合は利用シーンを考慮して適したものを使用しましょう。。

デジタルとアナログの違い

デジタル簡易無線は、出力の上限が5Wとなっています。
特定小電力トランシーバーやIP無線機と比べると、多く出力が可能ですので、より広い範囲で安定した無線をやり取りすることができます。

デジタル簡易無線の通信距離は、1キロから5キロほどが一般的です。
遮るものがなく見通しが良い環境であれば最大で10キロ離れていても通信できることもあります。
出力が大きいため、途中に壁などがあっても通信が可能です。ただ、遮蔽物が多い場所では、やはり電波が遮られることになります。
都心のオフィスビル群等は、遮蔽物も多いため1キロの距離も届かない、同じオフィスビル内であっても電波が届かない場合もあります。

デジタル簡易無線でも、機種によって通信距離が異なります。
切り替えができるタイプもありますが、出力が少ない機種であれば、その分通信できる距離も短くなってくると考えましょう。

携帯電話との違い

デジタル簡易無線は、携帯電話とは異なる点がいくつもあります。
携帯電話は、大手キャリアと呼ばれる携帯電話会社が、それぞれ独自に日本各地に基地局や中継局を設置していくことによって、4Gや5Gのネットワークシステムを整えています。

携帯電話は、携帯会社の電波をキャッチすることで使用することができます。
電波が届かない、環境が整っていないエリアでは携帯電話は「圏外」と表示され、通信・通話ができなくなります。

一方、デジタル簡易無線は、機器と機器同士を直接電波を送受信することで通信をします。
そのため、日本中どこにいても、相手の無線機の電波が届く距離にいれば使用することができます。

また、使用にかかるコストにも違いがあります。
携帯電話は、使用している携帯電話会社に対して、月々の基本料に加えて、データ通信料、通話料といった月額料金を支払う必要があります。
通話料は、基本的に長く話せば話すだけ料金がかかるシステムとなっています。

デジタル簡易無線の場合は、インフラを使用していないため、無線機本体があれば無線の使用料程度のコストしかかかりません。

デジタルとアナログの違い

簡易無線は、アナログ式のものと、近年主流のデジタル式のものがあります。
この2つの大きな違いは、電波の飛ばし方です。
無線機は、音声情報を電波に乗せて通信を行います。
その際、アナログだと音声をそのまま電波に乗せるのに対し、デジタルは音声を0と1の数字に変換し、音声情報を相手に伝えます。
この2つの方法は、それぞれ特徴が異なります。

デジタルの特徴

デジタル簡易無線機は、機器同士が直接電波を通信しています。
そのため携帯電話の基地局を経由する必要がなく、通信することができるのがメリットです。

また、接続されている機器が複数あれば、同時に発信することも可能のため、業務上、連絡事項を複数のメンバーに伝える必要が多い時等利便性が高いです。
信号はデジタル処理をされているので、セキュリティ面で安心できます。

また、デジタル簡易無線機を使用する場合には、アマチュア無線で必要となる免許の取得は不要であることもメリットです。
デジタル簡易無線を使用する場合には、総務省総合通信局へ必要事項を記入した申請書を提出することで、簡単な申請を行います。
申請に問題がなければ無線局登録状と呼ばれる書類が郵送されてきて、登録番号を取得することができます。。

アナログの特徴

アナログ簡易無線は、デジタル簡易無線の弱みが、そのまま強みとなっています。
音声の伝達がシンプルなのでバッテリー消費量は少ないので長持ちしやすいですし、入り組んだ場所ではデジタル簡易無線よりも通話がしやすくなっています。
また、デジタルでは音声の変換にごく僅かなタイムラグが発生しますが、アナログではそのタイムラグがないので、伝達が素早く行いやすいのも強みといえるでしょう。

しかし、混信しやすく雑音も拾ってしまうのでノイズが発生しやすいといった弱点がある他、2024年11月30日以降アナログは使用できなくなるという点も注意が必要です。
特定小電力トランシーバーの場合はアナログ無線機も使用は可能ですが、簡易無線の場合、2024年12月1日より使用が禁止されますし、使用した場合罰される可能性があります。

なにより、デジタル簡易無線とアナログ簡易無線は互換性がないため、更新ができません。
したがって、今後販売される簡易無線はすべてデジタル式のため、今から新しくアナログ簡易無線を導入するメリットはほぼありません。


免許局と登録局の違い

免許局と登録局の違い

デジタル簡易無線には、「登録局」と「免許局」の2つが存在します。
耐久年数や通信範囲はどちらも同じですが、用途や目的、そして機能に若干の違いがあります。
ここでは、免許局と登録局の違いについてご説明しましょう。

免許局

免許局とは、業務目的で無線を使用する場合に申請が必要です。個人では申し込めず、法人や団体で使用することが条件となります。
免許局はチャンネル数が多く、周波数帯が区別されています。多くの電波が行き交っているところであっても、混線することなく使用することができるメリットがあります。

免許局の申請は、所有している無線機1台ごとに申請し取得することが必要となります。
さらに、組織に属している人しか使用することができません。そのため、無線機を貸し出すことはできません。

登録局

登録局は、電波法で定められている免許が必要ない無線局のひとつです。
免許局は業務目的と用途が限定しています。
一方登録局は、法人や団体に限らず、個人でも申請でき、さらに用途も幅広く使用することができます。

登録局は2008年に制度化された比較的新しい無線局です。
電波法の改正によってデジタル簡易無線のニーズに応えるかたちで登場しました。 2008年以前は、限られた免許局しか使うことしかできませんでした。
登録局ができたことによって、免許を取得することなく、無線機を使用することができるようになりました。
登録局は、総務省の全国各地にある総合通信局、もしくは沖縄総合通信事務所へ申請書類と開設届を提出することによって使用できます。
半月ほどの審査を経て、問題がなければ登録状が郵送されてきます。

個人でも、レジャー目的でも申請することができます。
また、申請した人以外でも使用することができ、複数台の登録も可能です。

デジタル簡易無線が利用されるケース

警備業務

警備業務には、無線機が欠かせません。
デジタル簡易無線は、最長で10キロほどの距離と連絡が取れます。
そのため、大型のショッピングセンターや工場など、1号業務施設警備の常設警備に適しています。

また、音質がクリアで混信も起きにくいです。
イベント会場や、施設の屋外で自動車の誘導を行う2号業務雑踏警備でも、周囲の雑音に遮られず使用できるでしょう。

大型物流倉庫

大型物流倉庫は、近年、通販需要の高まりとともに、増加しています。
大型物流倉庫で、連絡を取り合う必要があるのは作業を行うスタッフだけではありません。
スムーズかつ安全に作業を行うには、守衛所の守衛や、搬入搬出を行う運送車両のスタッフとも、連携を取る必要があります。

デジタル簡易無線の中でも、とりわけ出力の高いものであれば、遮蔽物が多く広い物流倉庫であっても活躍してくれるでしょう。

イベント運営

音楽やスポーツ、花火大会など、屋外イベント運営でも、デジタル簡易無線は活躍します。
デジタル簡易無線の中には、多人数で同時通話が可能な機種があります。
そのような機種であれば、運営拠点から多くのスタッフへ、一度に連絡が可能です。

また、登録局であれば法人でなくとも使用でき、レンタルできるなどのメリットがあります。

レンタルは、スタッフが多いときほど面倒な手続きが減り、少ない日数であればコストが安いため、選ばれています。

アウトドア活動・レジャー

個人でも利用可能な登録局は、登山やキャンプのようなアウトドア活動、サバイバルゲームのような屋外レジャーにも使われています。
特に山間では、携帯電話がつながらず圏外になってしまうことも多いものです。

また、遭難のような万が一のときに備え、広い範囲で連絡できる無線機が好ましいといえるでしょう。
そのため、デジタル簡易無線は、家族や友人で行うアウトドア活動やレジャーでも活用されています。

アナログからデジタルに移行する場合

アナログからデジタルに移行する場合

上述したように、2024年12月1日よりアナログ簡易無線機は使用ができなくなります。
したがって、早めにデジタル簡易無線に移行することをおすすめします。
期限ギリギリまで使用するのも選択肢の一つですが、手続きや準備に時間がかかる可能性もあるので、できるだけ余裕を持った移行を心がけましょう。
アナログからデジタルへ移行する際の基礎的な事柄をご紹介します。

移行する場合の流れ

アナログからデジタルへの移行は、総務省に届け出を出して配し、新規の申請を行うことになります。
まずアナログ無線の廃止届を総務省に提出し、それと同時に無線の変更申請を申し出ることになります。
申請の書類は総務省ホームページより印刷でき、申請にかかる費用は発生しません。
また、デジタル無線の更新手続きに必要な書類は、他にも無線局事項書及び工事設計書がありますが、これも同様に総務省よりダウンロードでき、費用は無料です。

買い替えの際の注意点

デジタル無線機を購入する際の注意事項は主に2点あります。
一つは、購入あるいはレンタルするデジタル簡易無線が「免許局」「登録局」のどちらかということです。
上述したように、用途や機能面で若干の違いがあるため、事前に確認しておきましょう。
レンタルの場合は登録局でしか利用できないため、確認する必要はありません。

もう一つは、購入する場合は「技術基準適合証明等のマーク(技適マーク)」がついているかの確認もしておくということです。
これは電波法が定めた技術基準に適合している証明の印であり、技適マークがついていないデジタル簡易無線の使用は使用自体が違法になります。

基本的に、まっとうなお店で購入・レンタルする場合はほぼ確実に技適マークがついているため、確認はさほど必要ありません。
しかし、個人経営のショップや個人での売買で購入する場合、技適マークがついていないものを知らずに購入してしまうケースもあります。

発生する費用について

上述したように、停止や更新の手続きで費用は発生しません。
しかし、デジタル簡易無線を購入する際に費用が発生しますし、アナログとデジタルの療法が使用できる「デュアル無線」を使用している場合、費用が発生します。

この場合、アナログの無線局の停止措置をメーカーに依頼しなければならないため、その手数料が発生します。

おすすめデジタル簡易無線機

おすすめデジタル簡易無線機

デジタル簡易無線は免許こそ必要ですが通信範囲が広いため信頼性が高いため、人気のある無線機です。
ここでは、そんなデジタル簡易無線の中でも特におすすめのデジタル簡易無線をご紹介いたします。
なお、ここで紹介しているデジタル簡易無線機はすべて登録局のものとなっているため、レンタルでも購入でも使用できます。

初心者から上級者まで、おすすめデジタル簡易無線機5選

IC-D70

IC-D70の製品画像
ここが強み
  • 1.GPS搭載のため位置情報の送受信が可能
  • 2.録音機能搭載により直前の会話を再生可能
  • 3.レジャーでの使用におすすめ

アイコムより製造・販売されているデジタル簡易無線です。
最最大の特徴はGPS機能が搭載されていることであり、位置情報の確認がしやすくなっています。
また、サイドキーが搭載されており、よく使う機能を登録することでショートカットとして使用できるため、自分好みにカスタマイズが可能となっています。
GPS機能のおかげで位置の確認もできるので、はぐれる可能性のある登山やツーリングと言ったレジャーでの用途におすすめです。
防水性能に優れているため、屋外での使用の際に雨に降られても問題なく使用できるのもおすすめポイントの一つです。

IC-DPR7S

IC-DPR7Sの製品画像
ここが強み
  • 1.ボタン一つで通信相手を選べる
  • 2.大手の信頼性
  • 3.初めてデジタル簡易無線を使用する人向け

アイコムより製造・販売されているデジタル簡易無線機です。
デジタル簡易無線機で使用できる出力の最大値である5Wの出力を誇るのでパワフルな性能を誇ります。
操作性も難しい機能がなく、初心者から上級者まで気軽に扱える無線機です。
レジャーでの使用のほか、自治会や小規模なイベントでの連絡で効果を発揮してくれます。
また、防水・防塵機能に優れているため、工事現場でも信頼性が高いです。

TPZ-D503

TPZ-D503の製品画像
ここが強み
  • 1.タフネスな仕様
  • 2.米軍規格適合の簡易無線機
  • 3.ハードなレジャーや屋外で作業の連絡に最適

ケンウッドより製造・販売されているデジタル簡易無線です。
強みとしては、耐久性をとことん追求しており、米軍用の規格に適合しているほどの耐久性を誇ります。
そのため、サバイバルゲームや大規模な工事現場など、とにかくハードな環境において信頼性が高いデジタル簡易無線といえるでしょう。
しかし、現在は販売停止になっているため、無線取扱店で在庫がない場合は主にレンタルで利用することになります。
短期で使用する場合は購入よりもむしろレンタルのほうが安価で利用できるため、レンタルでの使用を前提とする場合におすすめです。

DJ-DPS70KA

DJ-DPS70KAの製品画像
ここが強み
  • 1.高い出力のデジタル簡易無線
  • 2.音声ガイダンス機能で現状確認が可能
  • 3.暗所での作業向け

アルインコより製造・販売されているデジタル簡易無線機です。
その最大の特徴は、音声ガイダンス機能と見やすい画面です。
バッテリーの消耗や無線機の現在の状態を知らせる音声ガイダンス機能は、両手がふさがっている状態でも現状の確認がしやすいです。
更に、表示画面はバックライトで明るく見やすい他、表示されている文字も大きめなので、画面の確認がしやすくなっています。
以上の点から、両手がふさがっていたり、暗所での作業を行ったりする場合にメリットを十二分に感じやすいデジタル簡易無線だといえるでしょう。

SR741

SR741の製品画像
ここが強み
  • 1.ワイヤレス通信が可能
  • 2.20時間以上の通信が可能
  • 3.ハードなレジャーでの使用がおすすめ

スタンダードホライズンより製造・販売されているデジタル簡易無線です。
特徴としては、充電がフル状態なら20時間使用できるほどの持久力の他、Bluetoothによるワイヤレス接続によるワイヤレス通信が可能という点でしょう。
音声自動送信機能にも対応しているので、ヘッドセットによってはハンズフリーで通信が可能です。
そのため、ツーリングやヨット、スキーにサバイバルゲームといったハードなレジャーで大活躍してくれるでしょう
耐久性も最高クラスのため、ハードな環境でも安心して使用できるのは大きなメリットです。
レジャー以外にも手がふさがりやすい工事現場での使用にも適しています。
もちろんワイヤレスじゃなくても使用できるので、ヘッドセットによってさまざまな利用シーンに対応できるデジタル簡易無線といえます。

デジタル簡易無線を利用する場合は

デジタル簡易無線を利用する場合は

デジタル簡易無線は免許の取得が必要ですが、使い勝手はそれに見合ったものとなっております。
登録局なら免許取得者が一人いれば複数人での使用も可能なので、デジタル小電力トランシーバーではスペック不足の場合、使用を是非検討してみましょう。
しかし、デジタル小電力トランシーバーと比較するとやはり費用が高くつくため、必ずしもおすすめというわけではありません。
購入する前にレンタルで使用感を確かめ、デジタル簡易無線を使用するか、デジタル小電力トランシーバーを利用するかを決めましょう。

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